2005年09月01日 九州電力 A view for tomorrow
明日への視点 まずは選択できること、企業も社員も意識改革を
最後に紹介する株式会社グレース福岡(現在の 株式会社 テノ.コーポレーション )は、企業内における男女共同参画の環境整備をお手伝いする会社。99年に創業し、当初は個人向けのベビーシッターやホームヘルパーなど育児・家事・介護専門の人材を派遣していた。事業拡大に伴って企業ない保育所の運営や人材派遣を請け負うようになり、前出の第一交通産業および那覇バスの社内託児所も同社が運営している。現在は九州一円に700名の保育士を抱えている。
もともとOLをやっていた、池内比呂子社長は、これからの少子高齢化社会で必要とされるものを始めようと同社を起業。これまで女性の役割とされがちだった育児・家事・介護をトータルに請け負い、女性のライフステージ全般を支援する会社を目指している。「少子化についても、産みたいけど産めない環境があります。女性に負担がかかるものは必要であればアウトソーシングして、より育児のしやすい社会をつくっていきたい」
最近では育児コンサルタントとして企業向けのセミナーや講演会を受け持つことも多い。昨年度は男女共同参画社会実現のために厚生労働省が定める「一般事業主行動計画」の策定時期にあたり、同社が開いた年4回のセミナーには西日本鉄道や九州電力など地元大手企業11社が参加した。
「性別に関係なく働ける職場環境の整備は、大企業だけでなく小さい会社でも危機感を持たなくてはいけないテーマです。いずれはエコマークのように男女共同参画が進んでいる企業には認定マークがつき、企業活動でも優遇される日がやってくると思います」と池内社長。同時に社員の意識改革も必要と言う。「意識改革は男性にも女性にも必要。そのための社員向け講座も実施していく予定です」
池内社長は「必ずしも女性全部が社会に出て男性と同等に働く必要はない」とも語る。「今まで女性は選択の余地がなかった。仕事を続ける、家庭に入る、あるいは子どもを産む。どれを選ぶかは個人の自由で、いちばん大切なことは何かを選んだときにそれが実現できる社会であることです」
男女共同参画社会とは、女性の権利主張をする社会ではない。また女性を優遇する制度をつくれという問題でもない。これからの時代を考えたとき、性別に関係なく能力を発揮できる社会が重要であり、そうした企業風土を実現した企業が21世紀を生き残っていけるということだ。とりわけ企業においては女性も活躍できる風土を持つことが大切で、その姿勢は企業トップの認識によるところが大きい。強い会社をつくるのは経営者次第なのである。